2013年9月12日木曜日

「例外」にだまされるな


 
 
 
 
 
 
この数日、カジノ(賭博場)関連企業の株価が急伸しています。東京オリンピックの開催が決まり、お台場あたりに外国人観光客むけのカジノが作られるという噂が広がっているからです。

もともと東京都は石原知事時代からカジノ構想をもっていました。現在の猪瀬知事も「カジノは大人のデイズニーランド」と意味不明の持ち上げをしています。国会でも、オリンピックを口実に、日本維新の会や自民、民主中心の「カジノ議員連盟」が、カジノ解禁にむけて動きを強めるのは間違いない...でしょう。予算委員会でも取り上げましたが、かれらはパチンコゲーム機や貨幣処理機などをあつかうカジノ関連企業から政治献金を受けているのです。

賭博は、生活破壊や犯罪をうみだすとして刑法で禁じられていますから、最初はオリンピックの外国人観光客限定とか、場所も東京のお台場だけとか、刑法の「例外」で許可する特別立法のかたちで提案される可能性があります。しかし、いったん解禁されたら、いずれ一般国民も出入り可能となり、場所も全国に広がるのは時間の問題でしょう。

わが党はカジノ解禁にきっぱり反対ですが、世論調査で是非を問うと、いまのところ、「いいんじゃないの」程度の賛成が多いそうです。お祭り騒ぎに惑わされず、カジノの危険性を知ってもらいたい。とくに外国人むけだから、東京だけだから、「例外」だからという宣伝には気を付けてほしいと思います。

ふりかえれば、「例外」をつくり拡大するという手法は、今までも自民党政権の常套手段でした。
たとえば、憲法9条は戦争の放棄と戦力の不所持をかかげていますが、「自衛のための戦力は軍隊ではない」「後方支援は戦闘行為にあたらない」などの「例外」をどんどん追加することによって、憲法9条を形骸化させてきました。
非核三原則をかかげ核はつくらないといいながら、核と原子力はべつ、平和利用は「例外」扱いにし、その「例外」をどんどん拡大してきたことが今回の大事故につながりました。

社会学者の大澤真幸さんは、なぜ今日のような日本になってしまったのか、その根本原因について、「普遍的な原則にたいする関係のあり方に秘密の一切が含まれている」とし、「どんな例外も認めない普遍性、どのような妥協もない普遍性を維持していれば、こんな転回は生じえなかったはずだ」と鋭く指摘しています(岩波新書『夢よりも深い覚醒』)。

「例外」にだまされないようにしたいものです。