2013年10月3日木曜日

乱読のすすめ100-柳田国男の「生産手段の社会化」論

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 地方都市の大きな本屋さんには、必ずといっていいほど「郷土本コーナー」があります。地元関係者の作品や郷土史、方言の解説本などが並んでおり、ときどき、メジャーではないが面白い書物に出会うことができます。
今日、盛岡駅の書店の「郷土本コーナー」で見つけたのが、『日本の経済思想、柳田国男』(藤井隆至、日本経済評論社)。
 柳田国男(1875年―1962年)といえば、怪異談あふれる『遠野物語』で有名な民俗学の創始者です。...
ところが本書によると、若き日の柳田国男は社会主義の研究を深め、その成果を自分の専門である農政学に生かそうとしたらしい。また、生かし方がオリジナリティに富んでいて、たいへん興味深い。
柳田国男は、「労働した人間は労働の果実をすべて自分のものにすべきであり、そのためには、労働者は土地や資本の『持ち主』でなければならぬ」と主張。その条件を満たすことができるのは『小生産者』しかないとし、そういう観点から、当時の社会主義の主流であった土地国有化論を批判したそうです。

「座敷わらし」の柳田国男が彼なりの生産手段の社会化を提言していたとは、新鮮な驚き。新幹線のなかで一気に読んでしまいました。