2013年10月13日日曜日

絵本のすすめ64-クシュラの奇跡











去年、絵本のことをブログなどで書いていたら、若いお母さんからお手紙を頂きました。1歳の女の子に先天的な障害があり悩んでいたところ、お医者さんからすすめられ、絵本の読み聞かせをはじめたとのこと。ところが、女の子は絵本にあまり興味を示さない。このまま、読み聞かせを続けたものかどうか迷っているというお手紙でした。

カウンセラーでもなく、直接、母子にお会いしたこともないので、返事にに困りましたが、「参考までに」と、一冊の本を紹介しました。『クシュラの軌跡』(ドロシーバトラー)です。

複雑で重い障害をかかえたニュージーランドの女の子クシュラの成長の記録とその間にクシュラが出会った140冊の絵本の物語。発達障害を宣告されても、母パトリシアは、来る日も来る日も、クシュラを抱きしめ、絵本を読み聞かせました。やがて、手の施しようがないと言われたクシュラが、話し、読み、書くことができるようになっていく…。

本書は、子どもの成長期における絵本の読み聞かせの意義を伝える本として有名ですが、わたしは同時に、読み聞かせが親や大人を救い、成長させることも教えてくれていると思います。

「そうだ。私も疲れていて、悲しいんだから、絵本を読もう」
母パトリシアは、クシュラのためというより、自分のために絵本を読み始めたのです。